イベント報告
   納豆菌と話しながら・・・

        菅谷食品を訪ねて          2008.4.28(月)

 JR青梅線小作駅から車で10分、多摩川を渡り静かな住宅地の奥に工場はありました。案内してくださったのは、高橋社長と関本工場長。駅まで迎えに来てくれた営業の加藤さんはじめ、みなさんとても熱心で納豆のことを語り始めると止まりません。その誠実な人柄に、まずグッと心をつかまれてしまいました。

高橋社長(右)と関本工場長

 原料を吟味して
 最初に案内されたのは大豆の倉庫。酸化を防ぐため17℃以下に保たれており、少しひんやりしています。
 自然派くらぶ生協に卸している納豆は全て国産大豆使用。糖質が高く、糸がよく引くので納豆に最適です。ところが現在、
日本で納豆の原料となっている大豆の9割以上が輸入物。約73%がアメリカ産で、糖質が低いため米粉を混ぜて使っている会社もあるとか。そのほか中国産、カナダ産で、国産はわずか7.7%(全農連推定)。国産大豆、ましてや国産有機大豆の納豆がいかに貴重かがわかります。
 その国産大豆、今までは問屋から安定して入ってきていましたが、これからの原料争奪戦では大手に勝てない!と、納豆組合の東京八社で北海道の農家と契約栽培をする話を進めているそうです。

 おいしさを逃がさない‘せいろ蒸し’
 工場では丁度、蒸しあがった大豆をバットにあけているところ。甘い湯気を立てている豆に噴霧器で納豆菌をまんべんなくかけていきます。
 大豆の種類によって蒸す時間も異なり、さらに同じ品種でも微妙に違うので毎日こまめに温度や時間を調整するのだとか。職人の経験と勘が活きてきます。
 大きな釜がいくつも並んだ傍らに、せいろ型の釜が。高橋社長が考案した菅谷食品独自の製法‘せいろ蒸し’。
 「本当は秘密にしたいんですけど、納豆業界活性化のためによその納豆屋さんの見学も受け入れています。」
 従来の上から蒸気をあてて圧力をかける蒸し方では、どうしても煮汁と一緒に栄養やうまみが流れ出てしまいます。せいろ蒸しは、下から
蒸気を吹き上げることで、栄養を逃がさず、一粒一粒がふっくらと仕上がるのだそうです。時間がかかる上に一度に蒸せる量も少ないのですが、おいしい納豆を作るために手間を惜しみません。
 熱々の大豆を味見させていただくと、柔らかくて甘味があり、そのままムシャムシャたくさん食べたくなるほどのおいしさでした。

 ‘石室炭火造り’で遠赤外線効果
 納豆菌を発酵させて大豆を納豆へと変化させる部屋が醗酵室。断熱材で作られ、きちんと温度管理された部屋ですが、置く位置によって微妙に発酵の進み具合が違ってくるので、何ヶ所からか抜き取りチャックして、丁度良いものから出していきます。大手ではこんな時間をかけないので、製品の出来にはどうしてもバラつきが出てしまうとか。

 そして、もう一つのこだわりを加えたのが、石室炭火造りの納豆。他のものとは醗酵室の材質が違います。蓄熱性の高い大谷石で造られ、内側は総檜張り。真ん中に置いた炭火を用いて温めることにより遠赤外線効果が得られます。じっくり芯から温められた豆はまろやかな納豆に仕上がるのです。
石室炭火造りの醗酵室

 新しい方の‘室’は檜の香りがぷんと漂い、住めそうにさえ思いますが、古い方は黒ずんできています。「衛生管理のため毎日洗浄していますが、菌を扱う部屋なので、どうしても傷みやすいんです。十年ごとに張替えなければならないんですよ」。
 石室の建設費は普通の醗酵室の倍、五百万円。張替えだけでも百三十万円かかります。

 感動していただける納豆作りを
 どうしてそこまで手間や費用をとの問いに、「おいしい納豆を作るため」と高橋社長。「菅谷の納豆を選んで買ってくれたお客様が、値段以上の価値を感じてくれるものを作ることが理想の納豆作りです」。
 食を通じて感動していただける納豆作りを目指しているという菅谷食品。どうかその気持ちを感じながら食べてみて下さい。きっと、心が温かくなるはずです。

噴霧器で納豆菌を大豆にかけているところ。この納豆菌は毎朝、種菌をその日必要な分だけ希釈して作り、余計な菌が入り込まないよう気を使われています。

容器に煮豆を詰めるのは手作業。小気味良いリズムで黙々と作業をする従業員さんたち。


大江戸せいろ蒸し
大粒・小粒・ひきわり
195円(税込)
長寿の糸
黒豆納豆
189円(税込)
石室炭火造り
本造り納豆
229円(税込)